花の魔女


ルッツはそっとナーベルの腰に手をあてた。


「ナーベル様、お湯の用意ができたようでございます。使われますか?」


ナーベルはそうね、と言って立ち上がり、ルッツの後ろについていった。

ルッツは扉の前で控えていた女の子の前で立ち止まると、ナーベルを振り返った。


「ここからは私はお世話することができませんので、こちらの方にお願いしております」


「モニカと申します」


それもそうよね、と納得していると、女の子がお辞儀をしたのでナーベルもおずおずと頭を下げた。


女の子は12歳くらいで、栗色のくるくる巻いた髪を高い位置で2つに結んでいる。

フリルがついた濃い紫色の給仕服が似合っていて、とても可愛い子だとナーベルは思った。


「ではモニカ、頼みましたよ」


「はい、ルッツさん」


ルッツに一礼して歩きだしたモニカに着いてくるよう促されて、トコトコ歩くモニカの後を追った。