ナーベルはもう一つつまみあげ、しげしげとお菓子を眺めた。
「これ、おいしい……」
初めて味わうお菓子に感動していると、ルッツは口に合ってよかった、と微笑んだ。
「それはラディアン様もお好きなお菓子ですよ」
「そうなんだ……」
ますますこの小さなお菓子が愛しくなる。
久しく感じなかったラディアンとの繋がりのようで、胸がときめいた。
しかし、ラディアンのことで自分が知らないことはまだまだたくさんある。
できることなら、ラディアンのそばにいてもっともっと知りたいと思うが、今はそれも叶わない。
ルッツは黙り込んでしまったナーベルに気づき、扉近くに控えていた召使いの女の子に目でコンタクトをとると、女の子はこくりと頷いた。



