夢の中にいるような空間に、ナーベルはいささか緊張した。
一口お茶を飲んで、ふぅと息を漏らすと上からクスクスと笑い声が聞こえた。
顔を上げると、ルッツがおかしそうに笑っている。
「どうかなさったのですか?」
笑いながらそう尋ねられて、ナーベルは少し頬を赤くした。
「ちょ……、ちょっと緊張しているだけです」
取り繕うようにティーカップを持ち上げ、また一口飲んだ。
ますます顔が熱くなるのは、この熱いお茶のせいだわ、きっと。
「すみません、あまりにも可愛らしかったので。失礼しました」
ルッツは笑ってしまったことを謝り、ナーベルはまた赤くなるのだった。
気を取り直して、テーブルの上の器にきれいに盛られたお菓子に手を伸ばした。
まるくて小さな、可愛らしいそれを口に含むと、ふんわりサクサクとして、リンゴの香りが口いっぱいに広がる。



