フィオーレとジェイクはいつでも力を蓄えに行けるように温室に近い部屋を与えられ、ナーベルは広いバルコニーのついた海の見える部屋に案内された。
初めて見る輝く海に感激していると、ルッツがお茶の用意ができたと声をかけてきて、恐る恐る華奢で繊細なデザインの椅子に腰を下ろした。
白い椅子には、見事な彫刻が彫られている。
ナーベルが椅子に座ったのを確認すると、ルッツは静かにティーカップに紅茶を注いだ。
使うのがこわいようなカップだ、とナーベルは密かに思う。
目の前にカップが置かれ、リンゴのほのかな甘い香りが部屋中に広がる。
ナーベルはその香りを楽しみながら、改めて部屋を眺めてみた。
チェストの上に飾られた、色とりどりの素敵な花。
上品な金縁の入ったホワイトのクローゼット。
大きな、薄紫をベースにしたふわふわとして柔らかそうなレースがあしらわれたベッド。
そしてガラスでできたつるつるとしている、お茶やお菓子が並べられた目の前のテーブル。



