「これ、奈津が?」


言われて、頷く。


この椅子から眺める、
カウンターの向こう側を描いた絵。


最後は投げやりに、
濃淡だけを意識して色を重ねたから、
きっとパッチワークみたいに色がごちゃまぜになっているはずだ。


「これ…飾っていい?」


聞かれて、私は頷いた。


「そんなんでいいなら。」


どういう風に見えるのか、私には想像もつかないけど、
気に入ったなら別に構わない。

飾って貰えるなら、
その画用紙も報われたろう。


「うん。凄いかもしれない。やっぱ才能だよ。」


言われた私は、
肩をすくめる事で答えた。