君に愛の唄を




呆れて蓮の横を歩いていた。

すると、誰かの肩が私の肩にぶつかってしまった。



「すいませ…」


「心菜ちゃん!?」



聞き覚えがある声だった。

見上げると……



「奈々さん!」



奈々さんの顔が曇って見えた。

気のせいだと思ったけど、気のせいでないことは歴然だった。


奈々さんは私の知らない男の人と腕組みしていたのだから……


この前、見たのは見間違いじゃなかったんだ。



「何してるんですか…」


「別に何にもしてないよ?」



奈々さんは悪ぶるどころか、私に目でアイコンタクトして『話しを合わせて』と言ってきた。



怒りがフツフツと沸いてきた。



奈々さんには悪いけど、そんなに私は大人じゃないんだ。


だから、空気読めと言われても、そんなの分かんないし分かりたくもない。




「奈々さん、隣の人って誰ですか?別に彼氏がいるのに腕なんか組んじゃダメじゃないですか」



私はわざと冷たく言い放った。


奈々さん……

悪いことしてる自覚、ありますか?