「今日は本当にありがとうございました」



私は陸に頭を下げた。



助けてくれたし、

手当てしてくれたし、

送って行ってくれたし、色々お世話になったんだから・・・



ちゃんとお礼は言わないとね。




「なんだよ、急に改まって。

…どういたしまして」




陸も私を真似て頭を下げた。



陸が頭を下げたと同時に陸のサラサラした髪の毛が靡いた。



そして、頭を上げた時に陸が見せた笑顔が私には眩しく見えた。




・・・だから、一緒に帰りたくなかったんだよ。



陸のこと好きになるから…



陸のせいだからね。


陸が無理矢理に私を送って行ってくれたから…




「じゃあね…おやすみなさい」


「じゃあな。また遊びに来いよ」




私は助手席から車を降り、陸を笑顔で手を振って見送った。



だんだん小さくなる車。



私はそれを、見えなくなるまで見つめていた。