君に愛の唄を


世界はすごく広いのに、今は私達しかいないような気がして。


でもそれは、ただの錯覚でしかないのだけれど。



「行かないで。本当はどこにも行ってほしくなんかない」



泣きながら本当の気持ちを言う私に、蓮は優しく「うん、うん」とうなずきながら聞いてくれた。



「嫌だ……」



私は知らないうちに蓮を傷つけていたみたい。


本当の気持ちを蓮に言ったら蓮に迷惑をかけてしまうと思ったから言わなかった。


だけど、


蓮に本当の気持ちを言わなかったからこそ、蓮を傷つけてしまっていた。


私のいけないところ。


紗英の時だって本当のこと言わなくてケンカになったのに、


また同じことを繰り返そうとしていた。


……私は馬鹿だ。


本音を隠すことで上手く行く場合もある。


だけど、それは相手を裏切ってることになるんだよね…


しかも、


──本音を隠しながらできた絆が長続きするはずもないのに。