君に愛の唄を



そう思っていた時、彼が私に向かって走って来てるのが目に入った。


私は咄嗟に、彼に背を向けて走り出した。
と、同時に手を取られて私は先に進めなかった。



「ちょっと待って!…なんで逃げるの?」


「…………部活、大丈夫なの?」


「うん、ちょうど休憩に入ったとこだから大丈夫」



私は掴まれた手から徐々に彼の顔へと視線を移した。


汗で少し濡れた髪。
キリッとしてて少し垂れた目。
スーッとした高い鼻。
薄いピンク色の唇。

いわゆる可愛い系…?

蓮もかっこいいけど、
彼も十分かっこいい…


どこかで見たことある顔。



「心菜ちゃん?」


「……ごめん。痛い、離して」



私は掴まれた手を見ながら言った。

ごめんね、冷たい言い方で……