アフタヌーンメロドラマチック

「刹那、それは違いますよ。あなたは知りすぎているのです。わかるから失うことを先に考えて幸せから逃げようとしているのです」


院長先生が私を強く抱きしめた。

「刹那、お父様とお母様が命をかけて守ったあなた。あなたの記憶はなくても身体と魂は家族に愛されることを知っている。刹那、あなたにはあなただけの家族がいます。刹那、あなたは恋をして良いんですよ」


院長先生がそっと耳元で囁いた。

顔を上げると、院長先生は優しく微笑んだ。

「刹那…

ドアの方を見ると、匠海くんがいた。

どうして

ここにいるの?

ここのことは誰にも言わなかったのに。