球場前のバス停に着き、バスを降りる。




パーパーパパーパパー・・・・・・




管楽器の音が風にのって、私の耳に届く。


「あ・・・もう始まっちゃってる」


私は肩にかけていたカメラをしっかりと抑え、球場に向かって走った。

東実高校側の応援席の階段を駆け上がる。


「ハア、ハア・・・・・・・」


ドクドク波打つ心臓をキュっと抑え、球場を見下ろす。


「ハル君は確か、サードだよね・・・あ、いた」


帽子には東実高校のTの文字。


「コーイ!!!」


体制を低くして、構えるハル君。

こうしてまじまじと、野球をしているハル君を見るのは初めてだ。