【短】─サクラサク─

「……で、妖精ってなにすんだよ?」

 どうしようもない苦し紛れの質問だ。

だって何を聞けばいいかなんて、そうわかるもんじゃないだろう。


 だけどこんな質問でよかったみたいで、嬉しそうにサクは飛び起きた。


「サクラの蜜キャンディ集めだろ〜。それにハナビラの布団作りに〜……」


 気合の入った瞳で楽しそうに話すけど、俺にはさっぱりわからない。


 いわゆる『飯食って寝る』ってことか?

そんな生活なら、俺はうらやましいくらいだ。


「…他にも仲間とかいんの?」

 意味不明のサクの生き甲斐にお手上げで、違う話題をぶつける。

また瞳を輝かせるかと思ったら、予想外にも目をそらした。


「ん?なんだよ?」

 口をごもらせるサクは、力なく答えた。


「……オレは、このサクラの妖精なんだ」

 あまりにも寂しそうな瞳をするもんだから、俺はそれ以上何もいえなかった。

 なにより、今日は俺をずっと見守り続けてくれたじーちゃんの最後の日でもあったから……。


「オレはずっと、ここにいた」