【短】─サクラサク─

 それが何を意味するのかは分からなかったけど、サクの強いまなざしに俺は咄嗟に目をそむけた。

昔、俺がそうだったかのように。


 なんだってがむしゃらにがんばってきた。

やってできないことはないって信じて疑わなかったし、できなくっても、それより達成感が勝ってたから気にするほどでもなかった。


 でも。

 どうにもならないことっていうのは、人間でてきてしまうものなんだ。


「ヒロ、オレ本当は……」

 なんとなくシンミリしてしまったこのサクラの木の上。

だけどまた世話しなくオレの上着が震えだす。


 …──ああ、もう!!

チラリと携帯電話を取り出すと、母からだと思った着信は、違う名前だった。


「…くら…」