私は敢えて怜人を名前でなく、名字で呼んだ。



これ以上、想いが溢れないように。



私なりの予防線。




でも、怜人は私が名字で名前を呼んだ途端に笑い出した。



「……本城くん?」


「ハハハッ……俺たちセックスまでした仲なのに、ずいぶんよそよそしいな」




何、言ってるの?




「ねぇ……ヤらせてよ」




えっ……?



驚いたスキに怜人は部屋の中に入ってきた。



冷たい玄関の壁に押されて身動きが取れないまま、



ただただひたすら、怜人からのキスを受ける。



どうして?



怜人が記憶を失ってから、抱かれることはあったけど一度たりともキスはされたことがなかった。



私から望んだ最後のキス以外は―――。