首をブンブンと横に振る。

怖いんだってば!

わかってよ!


わかるはずもない男達は、少しずつ私に近づく。

いつの間にか、後ろは壁で。

トンッと背中に当たる。

どうしよう。

茜が早く来る…なんてことあり得ないだろうし…

通る人は足早に家路を急ぐ人ばかり。


「ね、行こう?あそこなら、外からも見えるし安心でしょ?」


あなた達と一緒な時点でどこに行ったって、安心なんか出来ないから!

って、声に出して言える勇気があれば…。

弱い自分を心底呪うよ。


「行こう行こう!」


男たちは勝手に話をまとめ、恐怖心からガッチガチに固まった私の腕に手を伸ばす。


「美月?」


…聞き覚えのある声。


「誰?」

「コイツと待ち合わせしてたんだけど。」


蒼だ。


「なんだよ、友達じゃなくて男かよ。さっさと言えよな!このブスっ!」


捕まれていた手は離され体に自由は戻ってきたものの、

男たちの声に体が震える。


「大丈夫か?」


蒼の問いかけに黙って頷く。

ブスだと思うなら、ナンパなんかしなきゃいいのに。

誰もが思うだろうけど…。


「…怖かった…よな?」


蒼は、私が男の人が怖いことを知ってる人。


「ごめん…もう大丈夫だから……りがと…」


そう言いながらも、近くに身近な人が

いてくれるだけでほっとして…。

緊張の糸が切れた瞬間に、ボロボロと涙があふれた。