なんの話だろ…参加したいなぁ~。

なんだか遠くから聞こえるようなみんなの笑い声。

蒼の左手をキュッと握る。


「…美月?まさか起きてる?」

「ん~?」


聞こえてるのに、まともな返事ができない。

頭がグルグル回る…。

蒼の体温の気持ちよさと、酔いに負けて体を動かす力すら出てこない。


「起きてたとしとも、記憶ないから大丈夫だろ。」


心くんがそんな事を言っていて『ちゃんと覚えてるもん!』と思っていた。


「ったく…手のかかる。」

「そんなとこが可愛いくせに。」

「そうそう!お前、昔っから面倒見いいし、いいんじゃない?」


蒼の規則正しく動く優しく髪をなでる手。

楽しそうな会話。


「…蒼の…あったかくて気持ちい…」

「「「……」」」

「やっぱ起きてる?」

「健く…心……ん、いい人れ…よか…」


茜が勢いよく噴き出して、また部屋は笑いに包まれる。


「気持ちいいってさ!相原!」

「あはは!マジで可愛いわ!」

「蒼、顔真っ赤!」

「違!これは酒がまわってきて!」

「「「全然飲んでないじゃ~ん!」」」


私のせいで、蒼がいじられ続けた事を知ったのは、だいぶ先の事だった。