「おぉ、蒼!来たか!」


お店に着くと、マスターらしき人が蒼に手を振っていた。


「朔さん、久しぶり!」

「みんな来てるぞ。」


みんな?

知り合い?


「蒼…三人じゃなかったの?」

「あぁ…いつもたまり場になってるから…」


不安な気持ちを隠しきれずに、思わず小声で聞く私に、優しく微笑んだ。

そして、私の顔を見て、サクさんと呼ばれたマスターも笑っている。


「美月、こっち!」


私の腕を掴んで、進む蒼。

う…。

大丈夫。

これは、無理矢理じゃない…。

体が一気に強張ったのを感じながら、懸命に何事もないように振る舞う私。

マスターに軽く会釈をして、蒼に促されるままに歩く。

スタッフルームと書かれた部屋のドアを開けた蒼。


え…大丈夫なの?


ドアを開けると、そこには茜と…誰?


「来た~!おっそいよ!」

「悪い!待たせた!あれ?香澄は一緒じゃないのか?」

「あ、アイツは塾だってさぁ~、塾!」

「ホントに塾に行かなきゃマズいのは、心と茜な気がするけどな。」

「うるせぇ!」


そんな会話を繰り広げる蒼と男の子二人。

茜はそれを笑いながら見ていた。

私は、あと二人の男の子が誰なのかもわからず、会話だけを聞いている状態だった…。