あれから、蒼の態度は何も変わらない。

やっぱり、夢だったのかとすら思うくらい。

オデコにキスくらい、別にたいしたことないんだよね…。

うん。

自分にそう言い聞かせていた。

茜に見られる前に起きられたので、この間の出来事を茜は知らない。

と言うか、眠れなかったんだけど…。


「美月、今日忘れてないよね?」

「え?なんだっけ?」


今日は…ううんと…

はて?

何の話だろう…。


「やっぱり…主役なんだから、忘れないでよ!」


主役?

………あぁ!


「あれって本気だったわけ?」

「もちろん!」


今日は金曜日。

週明けに言ってたっけ。


「駅前ね!」

「…らじゃー」


また、遅れてくるんでしょー?

なんて口に出しては言えないんだけど…。


『金曜日は飲み会』


すっかり忘れてた。


今週は、蒼の事と、秋野さん達の事で頭がいっぱいだった。

この付き合いが始まってからと言うもの、蒼は毎朝迎えに来てくれる。

私の家に寄ると、蒼は遠回りになるのに。

茜は、「よく、毎日続くよね~!」と言って笑っていたけど…。

秋野さん達も、あれ以降話かけても来ないから…。

朝早く起きてまで、警戒しなくても大丈夫な気がするんだけど。