高校の門の前に着くと、
門の所で少し人が集まっていた。
…というより、5、6人の人を
注目しながら避けているような、
そんな感じ。
「あ、」
あたしの目に止まったのは、
人だかりの中心にいる人達。
「紗月~っ!」
大きく手を振っている女の子。
「おはよ!」
細身で小さめの女の子が、
あたしの近くに駆け寄ってきた。
「結衣、おはよう」
目の前にいる子、結衣は
きゃぴきゃぴと飛び跳ねている。
「早く教室行こっ?」
可愛い顔を少し覗かせながら、
終始笑顔の結衣。
あたしは結衣と並んで、歩いた。
いつものように、
後ろにいる十夜に声をかけようと
振り向くとそこには十夜の姿がなかった。
その代わりに、門の方から
聞き慣れた声が聞こえてくる。
「お前が藤田十夜か…」
中心にいた集団の中に、十夜の姿があった。
「何すか、先輩?」
大人しくはしてるもの、
十夜は中学生の頃から喧嘩は日常茶飯事。
負け無しと言われる十夜を、
恐れない人はいなかった。



