「…出てけ」 低く言葉を紡ぐ彼の目には、 何が映っているのか。 あたしが十夜を見ると、 うっとうしそうな目つきで あたしを睨まれた。 「十夜…、あの」 「いいから。出てけよ」 静かに立ち上がると、 その場を後にした。 はだけたボタンを直して、 乱れた髪を整えて。 何もなかったかのように 自分の家に帰った。