「今携帯に連絡したけど、留守電だった」
「え、あ…ごめん。見てなかった」
沈黙が訪れる。
暗闇の中で、2人の間に
何もない。
「とりあえず…部屋、来いよ」
「え、部屋は…ちょっと」
哲がいる手前。
十夜とは言え、男の人の
部屋で2人きりになるのに
少し躊躇ってしまうあたし。
「意味分かんね。来いって、早く」
「ちょ…、十夜ダメだって。飛鳥ちゃんにも悪い…っ」
……そうだ、飛鳥ちゃん。
十夜どうなったんだろう。
なんて、気にし始める自分がいて。
「お前が部屋に入ることに、飛鳥は関係ねぇだろ」
「はぁ?一番関係あるって!関係ない女が入ったら、彼女悲しむから!」
必死の抵抗。
虚しくも効かず。
「黙れって、うるせぇ。いいから来いよ」
強行突破がこの状況。
言うことを聞かないあたしを、
十夜は力いっぱい腕を掴んで
あたしの引っ張る。



