NOAH

「産まれそうって……トモかい!?」

「そうだよ!」

「早くー!」
 
女性──ターラというらしい──は少女達にグイグイ手を引っ張られて温室を出て行く。

「大変だ…」
 
シオも慌てた様子でターラの後を追う。
 
レイとヒオウは互いに顔を見合わせた。

「…どうする?」

「どうするったって…」
 
二人は少しの間見つめ合っていたが、やがて同時に走り出した。
 
今はシオの後を付いて行くしかない。

温室を出て階段を上がっていくと、入り口に茶色っぽい布が下げられた部屋がいくつも並んでいた。シオはそのうちの一室に入っていく。
 
ヒオウとともにそっと中を覗いてみると、何人かの女性が慌しく動き回り、その中心に、薄い布の上に横になり、苦しそうにもがいている女性がいた。

「トモ、しっかりするんだよ」
 
ターラは苦しんでいる女性に声をかけながら、彼女の腰をさすっている。

「布が足りないよ、誰か持ってきておくれ」
 
ターラがそう言うと、中に居た女性の一人が部屋を飛び出してきた。レイ達は慌てて避ける。

「お前ら何やってんだ、邪魔だぞ!」
 
シオに怒鳴られる。

「ご、ごめん…」