ただ困惑顔で突っ立っていると、シオがそれに気付いた。
「やっぱり、お母さんのしてたこと知らなかったんだな。ドームの外のことも知らないみたいだったし……」
「シオは……知ってるのか?」
「ああ、子供の頃に世話になったからね。ルヴァンニール博士はこの街の救世主さ」
「救世主…」
「そう。彼女は植物学者で、ここにたくさんの知識を授けてくれた。それと同時に、妃という立場を利用して色々物資を送ってくれたり、病人の看護をしてくれたよ。
ドームにここの存在を黙認されているのは、ここに水と食料が豊富にあるからさ。それも彼女のおかげだ」
そう聞いてもピンとこない。
どんな想いを抱いていいのか、それすら分からない。
複雑な心境でいると、シオが悪戯顔でレイにそっと耳打ちした。
「その救世主の息子に襲われるとは驚きだったけどな」
「──あっ、あれは……」
口ごもると、シオは更に唇の端を上げた。
からかわれているのだろうか…。襲い掛かったはいいが、あっさりと殴られて終わった情けない出来事…。それを思い出し、レイは口を尖らせてそっぽを向いた。
と、そこへ二人の少女が駆け込んできた。
「ターラおばさん、大変!」
「産まれそうだよ! すぐ来て!」
少女達はほぼ同時にそう叫んだ。
「やっぱり、お母さんのしてたこと知らなかったんだな。ドームの外のことも知らないみたいだったし……」
「シオは……知ってるのか?」
「ああ、子供の頃に世話になったからね。ルヴァンニール博士はこの街の救世主さ」
「救世主…」
「そう。彼女は植物学者で、ここにたくさんの知識を授けてくれた。それと同時に、妃という立場を利用して色々物資を送ってくれたり、病人の看護をしてくれたよ。
ドームにここの存在を黙認されているのは、ここに水と食料が豊富にあるからさ。それも彼女のおかげだ」
そう聞いてもピンとこない。
どんな想いを抱いていいのか、それすら分からない。
複雑な心境でいると、シオが悪戯顔でレイにそっと耳打ちした。
「その救世主の息子に襲われるとは驚きだったけどな」
「──あっ、あれは……」
口ごもると、シオは更に唇の端を上げた。
からかわれているのだろうか…。襲い掛かったはいいが、あっさりと殴られて終わった情けない出来事…。それを思い出し、レイは口を尖らせてそっぽを向いた。
と、そこへ二人の少女が駆け込んできた。
「ターラおばさん、大変!」
「産まれそうだよ! すぐ来て!」
少女達はほぼ同時にそう叫んだ。


