そんな二人の会話を聞いていたシオは、「ふうん」と呟いた。

「成る程。うわさ通りなんだね。やさぐれ息子にそれをフォローするオカマちゃん」
 
その言葉に、レイは少しだけムッとし、ヒオウは「ガーン」とショックを受けた。

「何か事情があるようだけど…。自ら命を捨てるようなことをするのは感心しないな」
 
シオはキッとレイを睨む。

「何だよ、今度は説教かよ…」
 
面倒くさそうに溜息をつき、左手で髪をくしゃくしゃにする。
 
そこへ。
 
コンコン。
 
部屋のドアをノックされた。

「シオ様、お時間でございます」
 
ドアの向こうからメイドの声がする。

「分かりました、すぐに行きます」
 
そうドアの向こうに声をかけると、シオは少し声を低くして言った。

「あんたのことは喋らないよ。代わりにまた遊びに来るから」

「えっ」という顔をすると、シオはまたニカッと笑った。

「息抜きの場所が欲しかったんだ。じゃあ、またな」
 
ドアを開け、一礼して去っていくシオは、すでに王妃の気品を醸し出していた。
 
その後ろ姿を眺め、レイは軽く舌打ちするのであった…。