「さっそくだけど…。昨日の話をしに来たんだ」
 
そう言うと、たちまちヒオウの顔が青ざめた。

「お、お願い、ヒューイにだけは…」

「心配すんなって。絶対言わねえよ。こっちも知られたくないこと知られたからね」
 
と、レイを見る。
 
何となくシオの話が読めてきた。

「その性格…、隠してんのか?」

「そういうこと。あたしもまだ追い出されたくないんでね。…取り引き、しようぜ?」

「取り引き?」

「あたしは昨日のことを喋らない。あんたもあたしの本性を喋らない。喋ったところでお互いが損するだけだからな。…どう?」

「是非それでお願いします!」
 
返事をしたのはレイではなくヒオウだった。真剣な眼差しでシオの手を取る。

「あんな酷い目に遭わされたのになんて寛大な! ありがとう! ありがとう! アタシ達も何も喋らないわ。ねっ、レイ?」
 
ヒオウが振り返ると、レイはフイ、と目を逸らした。

「別に、俺のことは喋ったって構わねえよ…」
 
呟くようにそう言う。

「何言ってんのよアンタは!」
 
ビシッと頭を叩かれるが、レイの表情は変わらなかった。

「バレたらヒューイに殺されるって言ってるじゃないの!」

「別に……そうして欲しいからあの女のとこに行ったんだろ」

「な、何言ってんのよーっ」
 
少し涙目になるヒオウ。