その人は美しかった。
 
顔が整っているのはもちろんのこと、スラッと伸びた手足、腰まである長い銀の髪、白い肌…。どれもこれも輝いて見えるほどだ。
 
思わず見とれていると、銀の髪の女性はその視線に気付き、優雅に微笑んだ。
 
パッと目を逸らすと、ヒューイと視線がぶつかった。

「レイ、昨日はどうしたんだ。折角お前のために皆さん来て下さったというのに」
 
穏やかな口調ではあるが──自分の顔を潰されて怒っていないはずがない。

隣にいるヒオウが、緊張して体を固まらせているのが分かる。

「…調子悪かったんだよ」
 
ボソッと呟く。そのレイの台詞に、更に緊張するヒオウ。

「そうなんですよねー、急にお腹壊しちゃったものでー。ホントにこの子ったら」
 
引きつった笑顔でそうフォローする。
 
しかしそんなヒオウには目もくれず、レイのみに視線を向けるヒューイ。

「…まあいい。丁度いい、新しい妻を紹介しよう」
 
と、女性の背中に手を回す。

「シオという。思わず見惚れる程美しいだろう?」
 
ニヤリと笑うヒューイに、カッとする。彼女に見惚れていた自分を嘲笑うかのような態度に。