兄に相談して気が晴れたのか、黎はすぐに寝息を立て始めた。そんな弟を見つめ、陽央は呟く。

「すべてを忘れたわけじゃ……ないのね……」
 
静かに目を閉じ、故郷の風景を思い出す。
 
その中にいる人達の中心には、銀色の長い髪の少女がいた──。