それから、一年余りが過ぎた──。

 
道路の桜並木がようやく蕾をつけてきた頃。

「やったわあああ!!!」
 
陽央が叫びながらリビングに飛び込んできた。その手には、白い封筒と紙が握られている。

「入選! 入選よ! 見て頂戴!!」
 
バアン、とテーブルの上に思い切り白い紙を叩きつけた。
 
黎、聖、李苑、雛、そして一年前新しい家族となった翼がきょとんとしてそれを見た。

「まさか、これ…」
 
聖が紙を手にする。

「そう、この間駄目もとで出展してみた絵が入選したの~! 嬉しい~!」
 
陽央はクルクルと回って踊ってみせる。

「まあ! おめでとう、陽央くん!」

「おめでとう」
 
李苑、そして聖が祝辞を述べると、恐らく何だか良く分かっていない子供達も、

「おめでとう~!」

「あうあ~!」
 
と手を叩いた。

「へえ、昔からこういうの得意だったもんな、お前」
 
と、黎。

「ええ、絵を描くのは好きだったわ~。それが人に認めてもらえるって、すっごく嬉しい!」
 
陽央は一頻り喜んだ後。
 
少し表情を硬くしながら言った。