今なら分かる気がする。
 
ノアしか愛さないと決めていた自分が、何故乃亜に惹かれたのか…。

「参ったな…」
 
そう呟き、立ち上がる。
 
そして今度こそ、外に出た。



しばらく歩いていって、空を見上げる。
 
空気が澄んでいるのか、今日は星が一段と綺麗に瞬いていた。
 
何億光年も離れている星々からの光。
 
今見えている星の光は何十年、何百年前のもので。もしかしたらリトゥナの光も、この地球<ほし>からなら見えるかもしれない──そう、思った。

 
大きく息を吐いて。
 
暗闇に白い息が溶け込んでいくのを見届けてから、黎は静かに歩き出した。
 
ゆっくりと、前へ…。