「それで、あっちにいるのが乃亜ちゃん。アタシたちを見つけてくれた人よ」

「のあ…」
 
黒髪の少女の名を呟く。
 
どこかで聞いたような気がして、頭を巡らせた。だが、どこで聞いたのかは思い出せない。

「乃亜…」
 
もう一度、その名を呟く。

「レイ?」
 
ヒオウが顔を覗き込んでくる。

「あ、いや……いい名前だな、と思って……」
 
そう言って微笑む。本当に、何故だかは良く分からないが、乃亜という名前はとても良い響きだった。
 
乃亜に視線を転じると、彼女はこちらを向いてニコニコしていた。小さな体から溢れんばかりの元気いっぱいな笑顔。

「よろしく、レイ」
 
レイにはその笑顔が、とてもうれしかった…。