周りから見ても、僅かではあるが黎の表情に変化が見え始めていた。
大人である陽央達の前では気を張っているのか表情を変えることは無いが、唯一、聖の娘、雛の前だけでは、柔らかい顔をするようになった。
子供の持つ純真さが、そうさせているのかもしれない。
反面、時折辛そうな表情も見せるようになった。
ここにいることを苦しんでいる。そんな風に見受けられた。
「どうしたらいいのかしら…」
陽央は溜息する。
「そうだな…」
聖は天井に目をやった。恐らく、またベッドに転がっているであろう、黎を見上げるように。
「そろそろ、見守るだけの時期は終わりかもしれないな」
「どうするの?」
「うん…。今のままじゃ、乃亜ちゃんもかわいそうだし…」
「アタシもかわいそうって言って」
真剣な顔で突っ込む陽央に、聖は苦笑しながら続けた。
「叱咤激励、してみるか」
「分かったわ」
陽央は頷いた。
「ところで……しったげきれい、って何?」
「……」
まだここに来て二年しか経っていない陽央は、いくら頭が良いからと言って、分からない単語が多々あるのであった…。
大人である陽央達の前では気を張っているのか表情を変えることは無いが、唯一、聖の娘、雛の前だけでは、柔らかい顔をするようになった。
子供の持つ純真さが、そうさせているのかもしれない。
反面、時折辛そうな表情も見せるようになった。
ここにいることを苦しんでいる。そんな風に見受けられた。
「どうしたらいいのかしら…」
陽央は溜息する。
「そうだな…」
聖は天井に目をやった。恐らく、またベッドに転がっているであろう、黎を見上げるように。
「そろそろ、見守るだけの時期は終わりかもしれないな」
「どうするの?」
「うん…。今のままじゃ、乃亜ちゃんもかわいそうだし…」
「アタシもかわいそうって言って」
真剣な顔で突っ込む陽央に、聖は苦笑しながら続けた。
「叱咤激励、してみるか」
「分かったわ」
陽央は頷いた。
「ところで……しったげきれい、って何?」
「……」
まだここに来て二年しか経っていない陽央は、いくら頭が良いからと言って、分からない単語が多々あるのであった…。


