景色が変わる。
 
暗雲が立ち込め、冷たい雨の降り注ぐ街。
 
身体中が痛みに悲鳴を上げていたレイがそこで目にした者は、短い黒髪の少女だった。
 
大きく目を見開いた彼女を見て、レイは微笑みかける。
 
愛しい者が目の前にいる…。
 
そう、思って。


『…錯覚、だったんだ…』

 
黎は、薄れ行く意識の中、そう呟いた。