NOAH

蒼白の美しい顔。
 
彼女だけでも、助けられないか…?
 
ノアを抱く腕に力を込める。

「ノア……どうか、生きてくれ……」
 
レイはノアに覆いかぶさるようにしながら、また前へと進み出した。
 
キインッ!
 
銃弾が目の前で弾かれる。

「レイ様、次は威嚇では済みませんよ」
 
しかし、レイは止まらない。
 
仕方ない、といった風に、部下たちは銃を構えた。
 
シュン。シュン。
 
レイの肩を、腕を、腹を、足を、弾が掠めていった。それでもレイは何事もなかったかのようにズルズルと前に進んでいく。それはもう、執念であった。


「無様だな」

 
ヒューイの声がした。そして、背中に燃える様な痛みが走った。レイはついに倒れる。

「っ…」
 
振り返った先には、銃を構えたヒューイがいた。

「レイよ、もう破壊は止める事が出来んのか?」

「…ああ」
 
喘ぎながら、何とか答える。

「もう、お仕舞いだ…。あんたの野望も、ここで……」

「フン。では何故ここにいる」

「……」

「それはまだ、これが動くということだろう?」

「……」
 
レイはギリリ、と唇を噛んだ。あのまま諦めてくれていたら、今頃地球に飛べていたのに…。