NOAH

「成る程…。レイを思うように動かすために、あの子を捕まえたんだね。そして、装置が起動すれば新しい星を手に入れられるから、ここと契約を結んでいる必要はないわけだ…」
 
ターラは怒りに身を震わせた。

「自分の野心のために世界をこんなにしたのか…! 挙句、他の惑星を支配するだって…? 冗談じゃない!」
 
スラムの人々は、事実を知って怒りを露にした。

「許せないね…。自分の言う通りにならない人間は全部切り捨てるつもりなんだ。自分だけ、いい思いをしようだなんて…」

「ふざけてる!」

「許せない!」
 
激しい怒号が響いた。
 
人々は皆、同じ想いを抱き始める。

「ヒオウ…。一緒にドームへ行こう!」
 
皆の視線がヒオウに集まる。

「あたし達はね…。家族を失って、仲間を失って、自分の体さえ不自由にして生きてきた…。辛かったさ……悲しかったさ……。そんな想いを、もう誰にも味わって欲しくないんだよ。見ず知らずの星の住人でも、それは同じさ……」

「ターラ…」

「いいね? 皆」
 
ターラの声に、人々は腕を掲げて応えた。

「打倒! ヒューイ!!」

「オオオオ!」
  
地が揺れるほどの喚声が起こる。

「でも……それじゃ、アンタ達、死んじゃうわよ…」
 
ヒオウは呟く。ヒューイはそれ程甘い男ではない。歯向かったところで押さえ込まれるのがオチだ。
 
しかし、そんなことは皆承知しているようだった。覚悟を決めた、力強い瞳をしている…。

 
それからすぐに、スラムの人々の進軍は始まった。
 
そして、ヒューイ軍の反撃も開始される…。