NOAH

「何!?」
 
急いで窓の外を見る。あちこちで黒煙が上がっていた。どこからか奇襲を受けている。

「…ヒューイだね」
 
ターラはフーッと息を吐いた。

「どうして……まさか、アタシを狙って…?」

「さあ、どうだろうね。だとしても、こんなやり方はしないさ。恐らく……ここが不要になったんだろうよ」

「どういうこと?」

「さあね。意味など教えず、こうやって攻撃を仕掛けてくるのが独裁者ってもんさ」
 
ターラはリップルに目配せすると、彼は頷いて絨毯を捲り、石の床を力を込めてずらし始めた。
 
出てきたのは浅くて広い窪み。そこに数え切れないほどの銃器がズラリと並んでいた。

「いつかこんな時が来るだろうと思っていたけど……。腹をくくる時が来たようだ」
 
と、次々に銃を手に取る。

「あんた、使えるのかい?」

「まあ、護身用くらいなら…」

「ほらよ」
 
ターラはハンドガン二丁をヒオウに放った。それを受け取ったヒオウは、思いの他ずっしりとした重みを感じた。

「リップルはトモと一緒に子供達を地下に隠しておくれ。…出来るね?」

「ああ…。もう裏切ったりしない」

「オーケー。ヒオウはあたしと一緒においで。弾に当たるんじゃないよ」

「無茶言わないでよ」
 
言いながら、ターラとともに部屋を出る。他の部屋からも武装した者たちが次々に飛び出してきた。

いつでも戦える準備がしてあったのか…。ヒオウは密かに感心する。

大きく息を吐き出し覚悟を決めると、皆と一緒に外へ飛び出した…。