「さあ、亡者となって出て来い。さもないと……お前の大事なものが、壊れることになるぞ? 最も……そんな姿で現れるとは思わんがね……」
 
自嘲気味に笑みを漏らすと、顔を上げた。

「ディージェは例のプロジェクトに関するもの、すべてにロックをかけて死んだ。接点がなかったとはいえ、息子には何かしら残していると思ったのだが…」

「私どももそう考えております。しかし、今の所、何も出てきません…」

「スラムも調べたのであろうな?」

「もちろんです。しかし、あそこにも何もありません」
  
「ではどこにあるというのだ…」
 
あれ程のものをただ単に鍵をかけただけで命を落とすはずはない。
 
きっと、破壊するためのプログラムがあるはずなのだ。同時に、起動させるためのプログラムも。
 
それは開発者であるディージェの息子、レイに受け継がれているはずだとヒューイは確信していた。

だからこそ、息子たちの中でも一番の待遇を与えてきたのだ。このドームの中で、おとなしくしていてもらうために。
 
しかし、研究チームに入ったレイは、ディージェのプロジェクトを知っても、何らかの行動を起こす事はなかった。本当に何も知らないと見ていい。
 
では、起動プログラムは、どこに──。