「駄目…。あんたには頼らない」
 
思っていた通りの答え。
 
年下で、頼りなくて、迷惑をかけてばかりの自分では、やはり彼女の救いにはなれないのか…。
 
悔しかった。
 
惨めだった。
 
何も出来ない自分が。
 
ノアの肩に、首筋と同じような赤い痕があるのを見つける。このようなものが体中に残されているのかと思うとザワザワした。
 
この痕を付けた者に対する怒りが込み上げる。
 
衝動のままに、その痕に新たな印を刻み付けた。
 
ノアはその軽い痛みに思わずレイの腕を掴んだが…。抗う事はしなかった。

ゆっくりと目を閉じて、レイの腕を掴む手を緩める。

「…レイなら、良かったのにね…」

思わず出た本音に、ノア自身が驚く。

そんなことは言っても、思っても仕方ない事なのだ。それならば、口にせず、この胸にしまっておいた方がいい…。

 
でも…。

 
ノアの静かな叫びは、レイを動かした。
 
もう二度と離してやらない…。そんな想いが腕から伝わってきた。
 
そしてノアはその力強さを受け入れる。
 
それが自分の弱さだと知りながら。