「これで、ノアが帰ってきてくれたら、もっと嬉しいんだけどねえ…」

「え…」

「あのヒューイのところにいるなんて……惨すぎて」

「……」
 
それは、レイが不思議に思っていたことだった。
 
何故、ノアはヒューイのところにいるのだろう…。その疑問に、ターラは悲しげに答えてくれた。

「すべて、あたし達のためなんだよ…」


 
レイの母の死後、ここ、スラムとドームを繋ぐ人物がいなくなってしまった。
 
それまで互いに援助しあっていた関係は崩れ、双方緊迫した情勢が続いた。
 
それを阻止しようと立ち上がったのがノア。
 
自分がヒューイの元に行く代わりに、元の関係を続けていこうと。
 
関係の改善を望んでいたのか、ヒューイもそれに応え、「結婚」という形が取られたのだ…。

 
それを聞いたレイは、何かをしなければならない、という事を具体的に行動に移さなければならないと思った。
 
ここの人々のために…。
 
自分の行くべき道を照らしてくれたノアの為に。