悪魔化したそんな人物はほぼ毎日うちのリビングに優雅に座って、気付けば朝の目覚めに横にいるという最狂のサプライズをする変態で。
そういえば、気まぐれにあたしを学校まで送迎してくれた日はまさに現実離れした日だった。
一瞬で出来た人波に押されて、あっという間に見えなくなった秋人さん。
こんな事現実でも起こるんですねとある意味感銘を受けた直後、どこからかあたしに向けて発せられたのは正直な女生徒からの『この女誰?まじウザイ』っていうギラギラした視線。それを『絶対秋人主義冷視線ビーム』と名付けた時に、
『おまえがうぜーよ』
人垣に埋もれていた筈の秋人さんがあたしを抱きかかえて、低くて冷たい声をその女生徒に向けた。
『つーか邪魔』
不機嫌過ぎる一言で、静まる周り。
あたしにはその姿は、まるで魔王のイメージぴったりだった。

