(――)
雫は落ち着かなかった。
一分ごとに時計を見ては、内心をざわざわさせている。
それを繰り返すこと四十あまり。つまりは。
「遅すぎないかな……、そーちゃんたち」
四十分経ってもこない人たちに、雫は重々しく口を開いた。
「確かにそうだね……」
斜め前にいる菜子も頷く。
草の話では、十分で麓につくと言っていた。安く見積もっても、二十分もあれば帰ってこれるだろう。
「探しに――」
「行くな」
立ち上がる雫を止めたのは蓮見だった。
でも、と言いたげな顔に待てと言い聞かす。
「麓まで行ったならば帰ってくる道理はない。警察に通報して、そのまま町中まで安全な場所に行ったかもしれない」


