館が遠い気がした。それでも走らなければ。 でも足場が悪く途中、派手に転んでしまった。 手のひらを擦った。 膝も血が流れているだろう。 捻挫したか、なかなか立ち上がらない足に四苦八苦して。 ざし。 石ばかりの山道を歩く音。 これほどまでに心臓を貫かれたことはない。 誰かがいる。 僕以外の誰かがそこに――