「行かない理由を女のせいにすんなよ、びびり君」
佐藤の挑発に大人たる蓮見さんは目線を外すだけだった。
その態度が気に入らないか、蓮見さんの胸ぐらに手を伸ばそうとする佐藤の前に立った。
「僕が行きます」
「は?そーちゃんが?まじで言ってんの」
「本気です。第一、館内にも強い人が必要です。いくら人数がいようと女性と老人では心持たない」
一応は、成人男性で荻原さんがいるが、見るからに戦闘向きじゃない。
僕の出した案にまあと言いたげな佐藤は、僕の姿を上から下まで見た。
「そーちゃんがねぇ」
にやつく顔がいらつく。
「や、やめなよ、そーちゃんはか弱いんだから」
「か弱いって……」
雫の直球さにずきんとくる。ああ、確かに僕は見た目からしてか弱いですよ。でも。


