ぐずぐず泣く二ノ宮さんには、ご安心をとつけくわえる。
「これはあくまでも行きたい人のみで選別します。いなければ、朝まで待ちましょう。誰かいますか」
挙手をしろと言ったつもりはないが、自然と僕の口振りから挙手をしたのは。
「俺っきゃいねーでしょ」
佐藤だ。
生返事みたいな挙手をして、立ち上がる。
「もしもの場合、この中で犯人と対等にやれんのは俺とあんただけ。ほら、もう決まりじゃん」
あんたの部分で、佐藤は蓮見さんを見た。
怪訝そうな顔で蓮見さんがその視線を見返す。
「……俺は、残る」
「はあ?なに、あんた。もしかして、びびった?うわ、だっせぇ」
「どうとろうが好きにしろ。俺は菜子を守る。そばにいたいんだ」


