アイゼンハイムからの招待状



「もういや!こんなの!」


ヒステリックの文字が似合うほど、二ノ宮さんは叫んだ。みんな何事だと、目を見開いている。


「どないしたん、桃」


「みんなどうして普通なの!死体がいるし、もしかしたら、殺人犯が近くにいるかもしれないのよ!」


「せ、せやから、みんなでこーしてなぁ」


二ノ宮さんを落ち着かせようと荻原さんがその肩を掴むが、暴れられた。


「もし犯人が複数いたら?銃とか持ってたら?鍵かけても入ってくるんだよ!私たち、籠の中の鳥じゃん!」


ウサギみたく目を真っ赤にして泣き始めた二ノ宮さんを誰も責めることはしない。


皆、同じ気持ちだったから。


人間は思考する生き物だ。事態を常に最悪の状況で見る。


対策のためたる思考だが、悲しいかな、対策の仕様がないんだ。