アイゼンハイムからの招待状



「可憐が?」


雫の下手な説明でも、その血の気が引いた様子からただ事ではないと気づいたらしく、出流さんが荒っぽく扉を叩いた。


「可憐、いるなら返事してっ」


応答はないと分かっていながら、虚しく続くことに終止符を打ったのは鍵を持ってきた平野さんだった。


スペアキーか鍵を差し込む。かちゃりと鍵が開いた。ドアノブが完全に回りきったのに、扉は開かない。


「平野さん?」


「中から鍵が……」


「鍵って、今あけたんじゃ……」


「い、いえ、奥様はその……用心深い方でして、鍵とは別に内側から南京錠をかけているんですよ」

用心深いで、平野さんは出流さんをちらりと見た。


それはともかく、南京錠だなんて。


「内側からかかっているってことは、中に小鳥遊さんはいるはずです」