201と確認したあと、ノックをする。
「小鳥遊さん、柳葉草です」
返事はない。念のため、二、三度繰り返したが、同じだった。
「いないのかなぁ」
「僕にこんな手紙を出したんだ、いないはないと思うけど」
ドアノブを回そうとしたが止まる。鍵がかかっているらしかった。
「諦める?」
「ここまで来たんだから、少し待つ」
そう宣言している時に、平野さんが一階からこちらに上がってきた。
「どうかされましたか」
「あ、平野さん」
実は、と手紙を見せて訳を話した。
「途中、小鳥遊さんを見かけませんでしたか」
「いえ……、厨房からこちらに来ましたが、奥様のお姿は……」
「僕たちは二階東側からこちらまで来たんですが、同じように小鳥遊さんを見ていなくて」
「左様で。見てないとことなりますと、二階北側か東側一階ですが、奥様が私たちの自室に来ることは滅多にありませんし。広間にも用事がなければ行かないかと……」


