またノックもせずに入ってと怒ろうとしたが。
「そーちゃんの部屋の前にこんなの落ちてたよ」
雫が僕に紙を渡した。二つ折りになった紙だ。
「僕の部屋の前?おかしいな、気づかなかった」
「そーちゃんはおっちょこちょいですなぁ」
雫を無視して紙を広げる。
『話があります。部屋まで来てください。小鳥遊可憐』
手紙にはそう書かれてあった。
「なんだろう、そーちゃんに話って」
紙を覗き見た雫は言う。
「さあ、心当たりが……アイゼンハイムのことかな」
「なーる。あ、ウチもついていっていい?」
「いいんじゃないの。一人でとは書いてないし」
肝試し変更になり、小鳥遊さんの自室へ。
西側二階の201。
ここまで分かっていれば迷わず行けた。途中、誰ともすれ違わず。


