「それは夜の散歩だ」
「こんな山奥で夜の散歩なんて、まさに肝試しだよ!悪霊退散!」
「はいはい。準備したらね」
嫌だとは聞き入れてもらえないだろうと了承した。
それぞれ部屋に戻るらしい。雫が扉を閉めたあと、廊下を見る。一番最後だったため、必然的にいるのは僕一人になる。
広いと寂しい洋館だなと、部屋の鍵をあけて、中に入った。
んーっと、背伸びをし、念のため、荷物が荒らされた形跡がないか確認する。もちろん、荒らされた形跡などなかった。
荷物を戻し、さて、と窓の外を何気なく見る。
中庭が見えた。さすがに噴水はないけど、芝生と花がよく手入れされている。
「そーちゃん入るよ」
「入ってから言うな」


