「おー、かましたれ!おっちゃんも応援するさかい」
かんぱーいと前の三人組がグラスをかわした。
なんというか、息ぴったりだな。みんなして強欲さがにじみ出ているというか。
ちらりと、部屋の隅にいる平野夫妻を見るが、相変わらずのにこやか顔。優しさがにじみ出ている人たちだ。この職にぴったりなんだろうなぁ。
人間観察をしたあと、軽い談笑をし、解散となった。
まあ、こんなもんだろう。初対面だからかあまり長く話さなかった。
出る直前に食卓の間の壁時計をみれば、七時五十分あたりになっていた。
「ふう、お腹いっぱいー」
雫がお腹をさする。
一番最後に出たため、他のみんなは後ろ姿しか見えないが、皆、満足しているだろう。
「そーちゃん、これからどうする?」
「さあ」
「よし、肝試しだ!」
「なんでそうなる。つうか、二人で?」
「二人でぶらぶらするんだよ」


