僕は小鉢から箸をつけていくが、んまいっ。
目をぱちくりさせてしまう。
「おいしー」
雫なんか口に出すほどだし。
ますますこの洋館、ホテル経営できるぞと思う。
和食に相応しく、お茶をあんこさんが置いていった。平野さんは部屋の隅の方で僕たちの食事を見守っている。
「灯籠ー、椎茸あげるから、マグロのお寿司ちょうだいー」
「子供じゃあるまいし、好き嫌いはなくせ。ほら、寿司やるから」
そんなやり取りをする蓮見さんとなーこさんを見ると、どうやら仲直りしたらしい。
「お茶きらーい、ジュースにして」
「はい、かしこまりましたぁ」
「おばちゃん、ビールはあんの?」
「今、お持ちしますねぃ」
「あ、わしにもビール」
二ノ宮さん、佐藤さん、荻原さん、とそれぞれのわがままを笑顔で聞くあんこさん。


